看護学科

2020年 1月号

健康栄養学科と看護学科の連携
「基礎ゼミナール」

同じ健康科学部に属する健康栄養学科と看護学科では、めざす職業は管理栄養士、看護師と違いがあるものの、チーム医療において連携できる力を養成するために、両学科での連携教育を行っています。1年生の後期に開講される「基礎ゼミナール」は、健康栄養学科と看護学科の学生が同じグループに入り、グループで決めたテーマについて調査・研究する授業です。今回は、「基礎ゼミナール」で各グループが調査した内容をまとめたポスター発表のようすを紹介します。

健康科学部共通科目「基礎ゼミナール」

研究についてのポスター発表

「基礎ゼミナール」では、健康栄養学科1年生の学生6名と看護学科1年生の学生3名ほどが1つのグループとなり、自分たちでテーマを設定。そのテーマについて研究計画を立て、文献等から情報収集をしたり、実際に自分たちで調査を実施したりして結果をまとめ、発表します。これらを通して、自ら問題を見つけ、必要な情報を収集、分析、統合し、論理的に試行して問題を解決する力を身につけます。主体的に学び、また学ぶ楽しさを知ることで、「生涯にわたって学ぶ習慣」を身につけることがこの授業の目的です。
この日は、後期授業が開始した9月から約3か月かけてグループで調査した内容をまとめたポスターの前で、学生たちがプレゼンテーションを行いました。発表を見に来ていたのは別のグループの学生や、健康栄養学科・看護学科の先生たちです。時折、先生からの鋭い質問を受けることもありましたが、自分たちで調査した内容を基にしっかり答えており、1年生ながら精いっぱい頑張っているようすが見られました!

このグループは、健康栄養学科の片山直美教授の指導のもと、「壮年から高齢者における味覚・嗅覚・咀嚼力の実態調査研究~青年における味覚・嗅覚・咀嚼力の実態調査結果との比較を含む~」をテーマに研究を進めました。65歳以上の高齢者と20代の青年各14名を対象に、味覚(6段階の濃度の塩味を感じるかどうか)・嗅覚(13種類のにおいを感じるかどうか)・咀嚼力(ガムを噛む力)を調べ、高齢者と青年の結果に統計学的な有意差※があるかどうか調べた結果を、背景や方法、考察を含めて発表しました。この研究については、実はすでに学会でも発表し、片山教授の研究室の研究結果と合わせて近々論文にまとめるそうです!
※有意差とは、結果の差が偶然によるものではなく、意味がある差だということ。結果の信頼度が高いことを示す。

このグループは、看護学科の山田裕子准教授の指導のもと、「始めよう! 健康づくり」をテーマに、健康づくりの三本柱である栄養・運動・休養(睡眠)に着目した研究を行いました。まずは文献等で栄養・運動・睡眠の関連性について調べ、わかったことから、生活習慣の改善法を検討。メンバーが実際に改善法(朝食をトリプトファン※を摂取できるメニューに変更・昼か夜に5分間のランニングを取り入れる)を実践して2週間過ごし、睡眠習慣などにどのような影響が出るのかを検証しました。短い期間で対象人数が少ない調査でしたが、結果に手ごたえを感じ、引き続き対象者を増やして長期間の調査を行いたいと意気込んでいました。
※トリプトファン:必須アミノ酸の1つ

ほかにも、各グループが調査したさまざまなテーマについてのポスター発表が行われました。このポスター発表の後は、発表時に受けた質問や意見を参考に、必要に応じて再調査を行い、研究レポートを作成します。学科の垣根を越えて、グループで協力して調査を進め、ディスカッションした経験は、今後の学生たちの主体的な学びにつながるものです。

学生の声

・普段話したことのない他学科の学生や、ちがうクラスの学生と話す機会ができてよかった。今後、初対面の人の前でも自分の意見を話す機会がたくさんあると思うので、自分の意見をしっかり伝えられるようになりたい。

・この授業を通して、論文の探し方や、協力して作業をまとめることの大切さを知った。また、自分たちが調べたテーマに関連した知識を深めることができてよかった。

・情報をどのように収集するのか、その情報をどうやって整理するのかがわかった。