健康栄養学科

2020年 9月号

手のひらの細菌数の違いを実験で確認! ~授業「食品衛生学実験」~

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、皆さん手洗い・うがいをされているかと思います。管理栄養士にとって「衛生」は重要な項目の一つです。健康栄養学科の授業「食品衛生学実験」では、手洗い前と手洗い後の菌の数の違いを実験で確認することができます。今月号では、手洗い方法をまず確認し、続いて実験についてご紹介します!

手洗い方法の確認!

手には目に見えない細菌、カビ、ウイルス、化学物質などの「よごれ」がたくさん付いています。 その「よごれ」は手から口へ、手から物へ、手から他人へ、次々移動します。 皆さんは、食事も勉強も遊びも仕事も手を使って行っています。 手をしっかり洗って清潔にすることは、皆さん自身と皆さんの周りの人たちの健康を守るために大変重要なことです。 「新型コロナウイルス感染対策」で「手洗い」の重要性が叫ばれていますが、食中毒予防やインフルエンザ対策でもその重要性は同じです。 そこで、正しい手の洗い方を紹介します。

次の写真(1)~(6)は「手洗いマニュアル」に沿った手洗い手順です。
*腕時計や指輪は外してください。

(1)石鹸を付けて、まずは手のひらをこすり合わせます。

(2)手の甲を洗います。もちろん左右とも。

(3)指先と爪先の内側を洗います。

(4)指の間を洗います。

(5)親指と手のひらをねじり洗いします。

(6)手首を洗います。

手洗い後は清潔なタオルやハンカチで拭きます。できれば使い捨てのペーパータオルで拭きます。普段の生活での手洗いは、このような方法で充分です。 近頃、この手洗い手順についてのポスターも多くみられます。また、その手順を歌や踊りにして、正しい手洗いを紹介したり普及したりするための動画もインターネットでいくつか配信されています。なかなか良くできていて参考になります。

手のひらの細菌数の違いを実験で確認! ~食品衛生学実験~

食品衛生学実験の授業では皆さんの手を使って、手洗い前と、手洗い後の手のひらの細菌数の違いについて実験で確かめています。目に見えない細菌を培養すると、1個の細菌が何千個にも増えて目に見えるコロニーとなることを利用します。培養する「培地」は寒天培地と呼ばれ、寒天に細菌が増えるのに必要な栄養分を加えたものを使います。あらかじめ培地を準備しておき、検査したい所に培地を押し付けます。:写真(7)

実験手順は次のとおりです。

手洗い前の手のひらに培地を押し付ける。:培地A(手洗い前)

手を洗う。

手洗い後の手のひらに、新しい培地を押し付ける。培地B(手洗い後)

培地ABを培養して、比較する。

【写真(7)】培地を手のひらに押し付ける

写真(8)がその結果です。手洗い前の培地には白っぽい点々のコロニーがたくさん見られ、細菌がいたことがわかりますが、手洗い後にはほとんど見られません。

【写真(8)】培地A:左(手洗い前)とB:右(手洗い後)を比較した写真

皆さんは四六時中、手であらゆるものを触り、それによりたくさんの有益な品物や情報をキャッチしています。それと同時に、たくさんの有害な「よごれ」もキャッチしていることを忘れないようにしてください。そして、その「よごれ」を取り去るための正しい手洗いを行いましょう。

この授業を担当している先生

杉山 章 教授


健康栄養学科では管理栄養士を養成しています。「管理栄養士」の役割は、この名称に「健康」をつけるとよくわかります。すなわち、「健康管理ができる栄養士」です。栄養(食事)を通して、健康で過ごす、または健康になるためのアドバイスする仕事といえます。そのためには栄養だけではなく、体のしくみや 給食の経営など、幅広く学修します。その中で、「食の安全・安心」に関する食品衛生の知識や実践は食中毒予防などに大変重要です。正しく食品を取り扱う ということは、多くの皆さんの健康を守ることになります。このスキルは、皆さんの一生を通じて役立つ事柄として健康栄養学科で学ぶことができます。