学部学科トピックス

2019.05.27
生活環境学科

大井川「葛布(くずふ)」織元・工房見学

「自然布」という言葉を知っていますか?自然布とは、植物から人の手技のみで糸を取り出し、手織りで織り上げたもので、歴史と風土の中で人の営みの中で作られてきたものです。生活環境学科衣分野では、大井川鉄道SLの出発駅として有名な新金谷駅にある葛布織元の工房を訪れました。「葛布」とは、秋の七草である「葛」の蔓(つる)から採れる繊維で織った布地のことです。「葛」は水のきれいな川原や山に自生し、根から採れる葛粉は葛餅に、花は薬草に、蔓は布地として用いられてきました。「葛布」は、古いものでは、平安時代の貴族の装束として「延喜式」に定められており、光沢の美しさ、保温性、通気性にも優れた希少価値の高い素材であったことがわかります。

工房では、織元 村井龍彦 氏よりレクチャーを受け、葛布で作られた貴重な江戸時代の帷子や裃、道中合羽などを見せていただきました。また、貴重な葛の「つぐり」を用いた織を学生ひとり一人体験しました。

 

レトロな電車に乗って新金谷へ。

 

江戸時代の帷子、高貴な紫の葛布の生地に、銀箔の鳳凰柄!

拡大鏡でしっかり観察。

 

「葛布」専用の織機(しょっき)は、筬が曲がり、すくい上げるように織ります。

丁寧な説明を受け、いざ実践!

 

学生が織った光沢のある葛布。

「葛」は、撚りをかけず手で巻いた「つぐり」(右上)を、杼(ひ)に入れ、優しくそっと織ります。