学部学科トピックス

2023.02.10
短大 生活学科

【研究者紹介】「学習を持続させるための方法は」箕浦恵美子 講師

本学の教員が、研究者としてどのような研究をしているかインタビューした「研究紹介」シリーズ。今回は箕浦恵美子 講師です。

 

短期大学部 生活学科 箕浦恵美子 講師

専門分野
情報教育

◆研究テーマ
持続的学習法と指導法の研究:タイピングソフトを利用して



Q 研究内容について教えてください

 学習を持続させるためにはどんな方法が効果的なのかについて研究しています。その素材として、タイピング練習ソフトを開発し、運用しています。 タイピングは毎日練習することで格段に上達します。しかし、人によってはさまざまな理由で毎日継続して練習することが困難な場合があります。継続するための意識づけは「上達したいから」・「自分の役に立つから」というような内発的なものや「やれと言われたから」・「宿題だから」という外発的なものなどさまざまあります。また、継続していてもなかなか上達しないこと、逆に人より少ない練習でも上達することもあります。そこにはどんな要因が隠されているか、さまざまなデータを取得して分析しています。 学習者個人の意識づけだけでなく、指導する先生たちが適切なタイミングでどのような指導を行うことが効果的なのかという指導法も検証しています。

クラスの実績

個人の実績

 

Q その研究を始めたきっかけを教えてください

 SEとして働いていたころは、速く正確に文字を入力するのはとても大事なことでした。間違えた文字を入力するとコンピュータが誤作動してしまいます。今のようにどこにでもコンピュータがあり、いつでも自由に利用できる環境とは程遠く、コンピュータの利用は予約・課金制でした。限られた時間の中でシステム開発を行うという、今では想像できない環境で働いており、時間を見つけてはタイピングの練習をしていました。 縁あって、教育現場に携わるようになり、タイピングの練習をしている学生が「思うように上達せず悔しい思いをしている」、「練習しようと思うけど続けられない」という声を多く聞くようになりました。速く正確な文字入力ができることは、学生時代にはレポート作成に役立ちます。社会に出てからは、企画書や報告書などビジネス文書を作成する際に重要な戦力となります。練習をしている学生に、当時の自分を重ね合わせ、もっと効果的に練習できる方法はないだろうかと考えたことが、現在の研究の基礎となっています。

 

Q その研究が『未来にどう生かされてほしいか』教えてください

 タイピング練習用のソフトを利用して学習について検討していますが、ここから得られた知見は他の学習にも当てはまるものがとても多いです。例えば、漢字の練習や数学の問題、英語学習などの高校生の皆さんが現在直面しているであろう「勉強」にあてはまります。社会人になってからも資格取得や自己啓発の勉強に当てはまることです。
 e-ラーニングを用いた学習が今以上に活発になることは明らかです。自分が勉強をしたいと思った時がチャンスです。どこにでもあるe-ラーニングシステムを利用していつでもどこでも学びを深めていくことができると楽しいですね。近い将来、指導する先生は[AI先生]になるかもしれません。 本来、学びは楽しいものです。自分の頑張りが実を結んで達成感を味わい、「もっと知りたい!」の気持ちを育むことができればいろいろなことに挑戦できます。自分を豊かにする助けになるように支援していきたいと思います。

 

◆高校生へメッセージをお願いします

  パソコンが苦手だったという学生が半年の学びのあとで、パソコンが好きになったとかタイピングが早くなったと喜んでいます。また、「勉強が楽しくなった」、「自立した学習ができるようになった」という声も聞こえてきました。生活学科のすべての教員が皆さんの学習が楽しくなるように応援しています。

 

プロフィール
短期大学部 生活学科 箕浦 恵美子 講師
SEとして様々な業界のシステム開発に従事しました。出産を機にSE職から離れ、教育分野へ転向しました。SEとして培った技術を伝えるため、SE養成の専門学校で教鞭をとったのち本学に勤務、現在に至ります。現在の研究は専門学校にいたころに芽吹きました。SE養成学科と、経理、秘書養成学科において、さまざまな授業を担当する中で、学習に躓きを感じる学生を目の当たりにしました。彼らを指導するうち、指導者はもっと良い指導法があるのではないか、学習者はもっと良い学習方法があるのではないかと考え始めました。いろいろな方法を模索している間に、ご縁があって本学に着任することになりました。そこで様々な研究者と出会うことができ、研究の幅を広げています。